ポストCookie時代の広告運用を「不安」と感じるか「チャンス」と感じるか

この記事は Feedforce Group Advent Calendar 2021 の 12日目の記事です。

昨日は、アナグラムのチームリーダーである森ひろしげさんの「APEXにハマった36歳のおじさんが『ゲーマーは仕事ができる』を言語化してみたらこうなった」でした。

ゲームの話かと思ったら、いつの間にか巧妙な感じでビジネススキルのいい話になっているとか、人の心に響くような文章が書けるようになりたい人生でした。

僕、ゼロからゲームを作ることはできませんが、Steamでゲームを買ってオープンワールド系をじっくり遊ぶのが好きで、PvPゲーは苦手なのでまったくやらないです。最近はサイバーパンク2077でメインジョブを一切進めずにサイドジョブ(お使いクエスト)ばっかりやってます。

前置きが長くなりました…

本日12日目はアナグラム株式会社の田中がお届けいたします。最近は「野田レーザーの逆算」という深夜番組でやっているWikipedia逆算がマイブームです。Wikipediaの「マンチカン」のページ内からリンクをたどって「徳川家康」にたどり着く場合、マンチカン→猫→江戸時代→徳川家康の3手でたどり着けるそうです。

12日目に投稿するのは、アドベントカレンダーの折り返し地点さしかかること、あえて日曜日の早朝から読むには胃もたれを起こしてもおかしくないテーマで投稿し、わざと読む機会を奪うというストロングスタイルでやってみたかったからです。僕の悪意でしかありません。

ポストCookie時代の広告運用って「不安」ですか?

先日、所属しているアナグラムの採用イベントに登壇しまして、ポストCookie時代の広告運用について、事前に募った沢山のQに対してAをバンバン返していく機会がありました。

当日でいただいた質問を1つ1つご紹介することはできないのですが、いただいた質問は主に次のように分類できました。

  • 運用型広告従事者に求められる変化
  • 非従事者とのコミュニケーションに求められる変化
  • 広告運用業務への影響
  • 代替施策などどのように対応するべきか
  • 各媒体は今後どのような取り組みを行っていくのか

これらの項目を改めて並べてみて感じたのは、どれをとっても不安の表れから来る質問なんだろうなぁということ。

わかります。僕も不安だなぁと強く感じることはありました。

そんなあなたに、我が社の BIG BOSS の言葉を届けます。

ここでいう漠然とした大きな悩みというのはつまり不安を指します。

…時を戻そう(ぺこぱの松陰寺さん口調で)

つまり、ポストCookie時代の広告運用に大きな不安を感じているのだとすれば、不安というモヤモヤした物に対して、

  • Cookie制限によって何が起きるのかを細分化し、整理をしてみる
  • 整理できたものに対して、どのような打ち手が取れるかを整理してみる
  • 整理された情報の中から、自分たちが実行できる打ち手を選ぶ

という3ステップを取ることで、不安というモヤモヤした実態のないものから、差し迫った危機というかたちで具現化され、危機に対して立ち向かうしかないという状態まで昇華させることができるはずなのです。

じゃぁ、細分化を行ってみよう

世の中をざっと見回してみると、Cookieの制限やポストCookie時代の広告運用に関して、計測への影響とターゲティングへの影響を混同されている方が多いような気がしています。

そして、それらを混同して捉えているが故に、自分で自分の不安を増大させているという状況になっているのかなとも思えてきています。

これらの不安(モヤモヤ)を解消するために、まずはCookieが制限されることによって何が起きるか、というのをざっくりと書き出してみましょう。

上図で簡単にざっくりとまとめています(実際はもっと細かく書けるはずです)が、まずCookieの制限によって運用型広告分野で起こりえる事象としては、計測への影響とターゲティングへの影響の2つに分けられます。

計測への影響と対策

計測に影響を及ぼす要因としては、主にApple の ITP(Intelligent Tracking Prevention)、GDPRやCCPAなどの法を根拠に実装が義務づけられたCookie同意プラットフォーム、そしてブラウザの3つです。

ここで注目すべきは、制限の差はあれど、広告効果の計測においてはファーストパーティCookieによる計測がまだ利用できると言うことです。

Google 広告やYahoo!広告、Facebook広告など主要な広告プラットフォームにおいては、ここ数年でファーストパーティCookieによる計測に置き換わってきていますので、サードパーティCookieのサポート終了による影響はそもそもありません。

加えて、Facebookであれば詳細マッチング、Google 広告であれば拡張コンバージョン(現在β版)というように、Cookieに依存しないコンバージョン計測の仕組みを提供し始めていますので、そもそもコンバージョンが計測できなくなるという状況も技術的には解消されつつあります

各プラットフォームが今後どのような解決策を提供してくれるか?という不確定な物はありますが、計測ができてこその運用型広告ではあるので、計測が今後一切できないみたいな悲観をする必要はないでしょう。

また、広告媒体ではないサードパーティ製のレポートツールでも計測自体はできる様になっていくと考えますが、ここではあえて言及を控えておきます(長くなるのでどこかの機会にでも)。

ターゲティングへの影響と対策

ターゲティングへの影響で一番大きいのは、訪問者を追跡するリターゲティングや興味関心などを使ってターゲティングを行うパーソナライズド広告になります。

これらの広告はサードパーティCookieの仕組みを使い、各サイトを横断してトラッキングする事で成立しくみになっているため、サードパーティCookieを利用してこれらの広告を配信している広告プラットフォームでは、いずれインプレッションがされなくなってゆくことになるでしょう。

これに関しての対応策としては、Googleがプライバシーサンドボックスという仕組みを提唱しており、Cookieに依存せず、ブラウザアプリ側でユーザーごとに算出されるシグナルに基づいてターゲティングを行うことが可能となることを目指しています

プライバシーサンドボックスに関しては、まだ構想段階であるため今後も変更などがなされて行くと思われますが、中でも下記2つの技術が、ポストCookie時代のターゲティング手法と言われています。

FLoC(Federated Learning of Cohorts)

詳細まで説明するとかなりのボリュームになるので、下記にGoogleによる説明ページへのリンクを貼り付けておきますが、簡単に言うとブラウザアプリがその履歴から「興味コホート」を算出し、広告主が指定した興味コホートがそれ一致した場合に広告が配信されるというものになります。

FLoC を使って広告を選択して配信するうえでのそれぞれの役割について、順を追って説明する図。FLoC サービス、ブラウザ、広告主、パブリッシャー(コホートの観測)、アドテック、パブリッシャー(広告の表示)
Google Developers Japan: FLoC の概要

Google Developers Japan: FLoC の概要

FLEDGE

こちらも詳細まで説明するとかなりのボリュームになるので、下記にGoogleによる説明ページへのリンクを貼り付けておきますが 、簡単に言うとブラウザアプリ自身が、ブラウザアプリ内で閲覧履歴を使って広告オークションを実施し、オークションに勝った広告主の広告を表示するようにブラウザアプリが広告枠に表示を指示するというものです。

FLEDGE – Chrome Developers

ターゲティングにはCookieしか利用されていないのか?

FLoCやFLEDGEなどCookieに依存しないターゲティングばかりが取り沙汰されていますが、果たして今の運用型広告のターゲティングは未だにCookieのみに依存しているのでしょうか?

例えば、GoogleであればGoogle 検索やYouTube、Discovery、MapsなどはGoogleドメイン下でサービスが提供されており、ほとんどのユーザーがGoogle アカウントにログインした上で利用していることでしょう。

これは筆者の推測も多分に含まれますが、Google 広告はGoogleのサービスドメイン下であれば、Cookieに依存せずGoogle アカウントとその行動履歴(アクティビティ)の情報を得ることができるので、広告のターゲティングは概ねできそうですね。

また、ブラウザにChromeを使っていてChromeからGoogle アカウントにログインをしていれば、google.com 以外のサービス外ドメインに関してもアクティビティが取得されるので、技術的にはこれらを使ったターゲティングも既にできそうです。

同じようにFacebookやInstagramであれば、アカウント情報やタイムライン上のアクティビティは把握出来ていますし、Cookieが一切利用できなくなったとしてもコンバージョンAPIが実装できていればサイトの訪問履歴も細かく取得できるので、FacebookやInstagramのタイムライン上に表示される広告に関しては、ある程度のターゲティングは今後もCookieに頼らずに利用することもできるでしょう。

このように各媒体について事実から仮説を立ててみると、技術的には既にCookieに依存しないターゲティングができる様にはなっており、ターゲティングができないとすればサービスドメイン外サイト上の広告枠におけるターゲティングに課題が残るということになるかなと考えます。

サービスドメイン外のサイトにおけるターゲティングは、先にも紹介したGoogleが提唱するプライバシーサンドボックスで解決ができるのではないか?と個人的には期待していたりしますので、いま時点ではそこまで悲観していません。

以前、ITPがローンチされた当時は危機感しかありませんでしたが、蓋を開ければなんとかなっているように見受けられるのと同じく、見えないところでものすごいテクノロジーがそれらの影響を感じさせないようなサポートをしてくれると思っていたりします。

蛇足ですが、なぜGoogleがYouTube広告やファインド広告を推しているか等も踏まえて妄想するとこのあたりの話題で白飯3杯はいけると思います。はい。

あるべき未来を描いてみよう

Cookieが制限されることによって受ける影響、そして現時点で取り得る対応策などを洗い出したら、改めてそれをまとめてみましょう。

非常に雑ですが次のような図でまとめることができました。

このように1つ1つ取れる対策をまとめみたうえで、こんなにあるのか…と捉えるのか、これしかないならやるだけだな!と捉えるのかで変わってきますが、やれることが明確になったのでこれをやるしかありません。

加えて、昨今の広告プラットフォームで主流となっている自動入札は、コンバージョンのシグナルがあってこそ機能するものなので、プラットフォーマーが提供する計測手段の実装をしないという選択肢もそもそもありません。

僕ら運用者は法律やプラットフォーマーなどに振り回されることが多いですが、僕ら運用者はルールチェンジャーではないので、決められたルールの中でどう戦うかを考え、実行していくしかないのです。

ちなみに、ここまで読んで共感をいただけているのであればやるべき事はもう分かっているので、広告運用者として頭ひとつ抜きん出る「チャンス」でしかない事も感じていらっしゃることでしょう。

そう、やれることをコツコツとやるのみです。

【PR】とはいえ、何かをやるにせよ相談できる環境(となりに誰を置くか)は重要

色々思考を整理したとはいえ、じゃぁ果たして自分は行動に移れるか?というのは環境要因が強いなと思っていて、やっぱり身近に相談できる人を置くというのも大切なんじゃないかなと。

ということで、所属するアナグラム含めフィードフォースグループでは「住む場所」の選択を諦めることなく働ける「日本全国どこでも採用」を実施しておりますので、ご興味あればよしなに。

(無理やり採用の話につなげたな…感はありますがお許しを…)

それでもまだ不安を感じますか…?不安への向き合い方のひとつとして

今回はポストCookie時代の運用型広告というテーマの上で、不安との向き合い方についてお伝えしてきましたが、これはポストCookie時代の運用型広告に限らず、日常の様々な不安に対しても利用できる考え方だなと思っています。

ご縁あってこの記事を読んでくださっているそこのあなた。

もし何か不安というモヤモヤを感じているのだとしたならば、今回ご紹介したような方法で因数分解して細分化し、ロジックツリーなどに落とし込んでみた上で、あるべき未来を描いたりしてみてはいかがでしょうか。

きっと多少はモヤモヤが晴れると思いますし、そうなってくれると嬉しいですね!

以上、フィードフォースグループ Advent Calendar 12日目でした!

明日13日目は、株式会社フィードフォースのスクラムマスター pokotyamu ことえーちゃん先輩さんです!

予定通りなら「来年30周年のあのバンドについて」語ってくれるようです。楽しみですね!