こんにちは、僕です。
先日のこと、旅行用に半袖のTシャツが欲しいなと思って「Tシャツ gu」という語句でGoogle検索してみたのです。そうしたら、予想外の検索結果というかショッピング広告が表示されました。
「Tシャツ gu」で検索したときのショッピングの酷さよ。
※モザイク案件でした
— Hiroki TANAKA | ANAGRAMS,Inc (@hyroki1980) May 21, 2019
性的なイメージが強い商品が真っ先に表示されるという異常事態。恐らく、「Tシャツ gu」で検索した人の99%は「はい?」となることでしょう…。
実は、ここ半年くらいで、性的な意図がない検索語句でも、性的イメージが強く出ているショッピング広告が上位に表示されるということが目につくようになりました。
特に表示される商品がアパレルである場合に、この傾向が強いように思います。
Contents
過去の事例
コスプレ、ハロウィン
あのぉGoogleさん……Googleショッピングを差し込むのが儲かるのは分かりますけど、流石にこれは無法地帯過ぎませんかね。
ハロウィン、なんて子供も検索する時期ですのに…… pic.twitter.com/MviAngOHZ6— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) October 26, 2018
2018年のハロウィンシーズンに「ハロウィン」で検索したときのショッピング広告(Twitter @tsuj さんのツイートより引用)
「ハロウィン」に関しては、2019年5月末現在で映画「ハロウィン」に関する検索結果が占め、このようなショッピング広告は表示されません。
が、「コスプレ」はいつでもこんな感じに。
水着、水着 メンズ
これから夏のシーズンに突入して検索増えてくるであろう「水着」。
局部があらわになったものこそは表示されにくいものの、過激な見栄えの商品が表示されます。
パンツ、パンツ メンズ、パンツ レディース
「パンツ」自体はショーツの意とボトムスの意があるので、商品広告としてそれぞれが表示されるのは想定されつつも、どう表示されるか・・・。
どの検索語句にもセクシーなパンツ(レギンス?)が。
ここまで紹介した例はごく一部で、他の検索語句でもこういった性的な商品が広告として表示されているであろうことは想像つきます。
本来、こういった商品は広告の表示に制限がかかってもおかしくないはず
ショッピング広告を提供するGoogle 広告に限った話ではありませんが、アダルトに関する商品(サービス)に関しては広告の表示に制限がかけられるうえ、僕の体感ですが審査基準もかなり厳しいものとなることが多いです。
成人向けコンテンツ
Google では、次のような成人向けのコンテンツの宣伝を制限しています。
- アダルトグッズ
- 性的内容を示唆するコンテンツ
- 肌の露出やヌードを含む画像
アダルト コンテンツを宣伝する場合、次のような行為は認められません。
- 対象国の法律や規制に違反すること
- 未成年者をターゲットに設定すること
- 露骨な性表現を含むコンテンツを宣伝すること
- 児童への性的虐待を含むコンテンツなど、未成年者や強制的な性行為をテーマにした性的コンテンツを宣伝すること
- 報酬の見返りに性行為の機会を提供していると解釈できるようなサービス
制限のあるアダルト コンテンツの例: 成人向けのおもちゃ、成人向けの雑誌、性的能力を増進させる商品、性的なものを連想させるランジェリーの宣伝。
Google Merchant Center ヘルプより引用(強調は筆者によるもの)
先ほど紹介したショッピング広告の表示例を見て分かる通り、性的なものを連想させるランジェリーや衣装は制限がかかっているはずなのに、セーフサーチをONにしようがChromeのシークレットモードやゲストモードを使おうが普通に表示されてしまうというのが問題点。制限が全くかかっていないのでは?と疑うほど露出頻度が高い商品たち。制限とは。
ちなみに、これらのポリシーに抵触した場合は、当該商品を広告として掲載できなくなるのですが、これが繰り返された場合はアカウントの強制停止、つまりショッピング広告が一切掲載できなくなるという措置が取られます。
広告主側で成人向け商品であることを予め明示できる
ショッピング広告に関しては、実は商品情報と一緒に「この商品はアダルト向けである」というフラグを付与することができます。
3.成人向けの商品を正しく登録し、個々の商品アイテムレベルの要件とアカウント レベルの要件の違いを理解します。
- 個々の商品アイテムレベルの要件: 一部の商品が制限のあるアダルト コンテンツの場合は、個々の商品アイテムレベルで adult [大人] 属性を追加します。
- 警告メールに記載されている商品アイテムの他にも、同じポリシーに違反している商品アイテムが商品データに登録されている場合は、それらの商品アイテムにも ‘大人’ [adult] 属性を追加する必要があります。
Google Merchant Center ヘルプより引用
つまり、adult属性を利用することで、これは成人向け商品であることがGoogleに対して明示できるので、これが正しく機能していれば未成年者に対しての広告表示は抑えられるはず。
今回の問題、外からしか見えていないので想像ですが、adult属性を適切に使用していないのに審査が承認されてしまっているか、adult属性を適切に使用しているのになぜか制限されずに表示されてしまっているかのどちらかなのかなと思います。
論点を整理すると
- 検索語句に対して関連性のある商品を広告として表示させるのはGoogleの仕組み
- ポリシーとしては、広告として掲載できないわけではない商品もあるけれども、それしても目につきすぎる
- セーフサーチをONにしても表示されるので、adult属性が付与されないままの状態で何故か審査を通過してしまっている可能性
- 広告主側がadult属性を付与することで、当該商品の広告表示はGoogleによって適切にコントロールされるはず
このほか考慮すべき点を挙げると、広告主が自動入札を利用していると思うので、ふとしたきっかけで性的なものを連想させる商品をクリックし、別にその時は買わなかったものの、その後に日用品など普段の買い物をしてコンバージョンしたりすると、性的なものを連想させる商品の広告が購入に寄与したと判断されるケースがあります。これにより広告の露出を高めるみたいな傾向が出てくると、大人が検索してもいつも性的なものばかり出るというケースはあるかもしれません。
いずれにせよ、広告主側がadult属性を適切に使用していないのに審査が承認されてしまっている、もしくは広告主はadult属性を適切に使用しているしているものの、制限のあるアダルトコンテンツの制限がゆるすぎるかのどちらかに陥っているということが、この事態を招いている原因なのではないかと考えます。
どういった事情にせよ、性的なものを連想させてしまう商品が頻繁に表示されてしまっています。Google 広告側の最終防波堤として機能が果たしきれていないのは悲しいことです。
※商品数が何百~何千万クラスになると、1個1個の商品についてadult属性が必要かそうでないかをチェックして付与することはどうしても困難である状況ではありますが、広告主側・Google側ともに見過ごして良いという理由にはならないはずです。べき論で恐縮なのですが。
真っ当な広告主が不利益を被る今の状態は、Google的に良しとしているのか?
今回の件では、性的なものを連想させる商品に関してですが、ポリシーに完全に抵触している商品広告が蔓延しています。
Google 広告のヘルプコミュニティや所属する企業のお客様から、「あの会社の商品画像は明らかにポリシーに抵触しているのになぜ表示されるのか?なぜ同じような商品画像を設定した私たちの広告は審査で不承認になるのか?納得がいかない。」といった声も多く聞かれます。
多くの広告主や広告の運用者がGoogle 広告のサポートに問い合わせするも、未だに状況は変わっていません。ショッピング広告は本当にちょっとしたことで審査の不承認になり、それが1週間も続けば簡単にGoogle Merchant Centerアカウント凍結になることもザラです。でも、Google Merchant Centerアカウントを凍結されることもなく広告の掲載が続いているケースは多く見かけられます。
これって、本当に公平性が担保されたプラットフォームなのでしょうか?この状況が続く限りはショッピング広告の発展は難しいと思っています。
Googleを利用する人にとっては、ショッピング広告は莫大に膨れ上がった検索結果(情報)から適切な商品をいち早く探せるというメリットを享受できる強力なプロダクトなはずです。商品を探している人たちにとって、適切な商品広告を返すのがGoogleの役目ではないでしょうか。
明示されているポリシー下で適切な運用がなされ、誰もが魅力を感じるプロダクトとなるように祈るばかりです。
[…] 拝啓、Googleさま。ショッピング広告の健全な成長のために尽力いただけないでしょうか […]
[…] 昨年は特に成人向けの広告が頻繁に出てしまうケースなどもありましたが、今回はまた違ったお悩みが…。 […]